03-5. インバウンド客の「食べたい!」を刺激する!飲食店SNSのための写真・動画撮影術&多言語ハッシュタグ活用法

あなたの飲食店の魅力を写真と動画で世界に発信!SNSでのインバウンド対策を加速させよう

GoogleマップやInstagram、FacebookなどのSNSであなたの飲食店の存在を知ってもらえたら、次のステップは何でしょうか?それは、「このお店に行ってみたい!」「この料理を食べてみたい!」 と、見た人の心を強く惹きつける情報、つまり魅力的なコンテンツを発信することです。

特に、インバウンド観光客にとって、言葉の壁を越えてお店の魅力を伝えるには、視覚情報である「写真」や「動画」のクオリティが非常に重要になります。さらに、せっかく作ったコンテンツを、興味を持つ海外の旅行者に見つけてもらうためには、適切な「ハッシュタグ」の活用が欠かせません。

ここでは、ITコンサルタントの視点から、インバウンド集客に効果的なSNS向け写真・動画の撮影・準備方法と、多言語対応ハッシュタグの具体的な活用法について、初心者の方でも実践できるよう分かりやすく解説します。

5.具体的な「やり方」:見る人を惹きつける写真・動画の撮影とハッシュタグ活用法

【やり方 1】インバウンド客を惹きつける写真・動画の撮影・準備

SNSで美味しさやお店の雰囲気を伝えるには、プロのカメラマンに頼むのが理想かもしれません。しかし、スマートフォンでも少しの工夫で十分に魅力的な写真や動画を撮影することが可能です。特別な機材がなくてもできる、具体的な撮影・準備のコツをご紹介します。

  • 明るさは最も重要!自然光を味方につける:
    • 料理を美味しく見せるには、明るさが不可欠です。可能であれば、窓際など自然光が入る場所で撮影しましょう。自然光は料理の色を綺麗に見せ、影も柔らかく写ります。
    • お店の照明も活用しますが、暖色系の照明が強すぎると料理の色が分かりにくくなることも。白色系の補助光を使ったり、照明の真下ではなく少し離れた場所で撮るなどの工夫も有効です。
  • 様々なアングルから撮ってみる:
    • 真上(俯瞰): 複数の料理が並んだテーブル全体や、定食などのセットメニューを写すのに適しています。おしゃれな雰囲気が出やすいアングルです。
    • 斜め 45度: 人が普段食事をする際に見る視点に近く、立体感や奥行きが出やすいアングルです。料理全体をバランス良く写せます。
    • クローズアップ: 料理の質感(ツヤ、パリッと感、とろみなど)や、盛り付けの美しさを際立たせたいときに効果的です。シズル感を出すのに最適です。
  • 「シズル感」を写し出す:
    • 「シズル感」とは、料理の美味しさや臨場感を視覚的・聴覚的に伝える要素です。写真や動画でこれを表現できると、見た人の食欲を強く刺激します。
    • 湯気が出ている温かい料理、肉汁滴るステーキ、揚げたての天ぷら、溶け出すチーズ、グラスに注がれる飲み物などを捉えましょう。
    • 動画の場合は、ジュージューという音、麺をすする音、食材を切る音なども含めると、より臨場感が増します。
  • 背景をシンプルにする、またはお店の雰囲気を写し込む:
    • 主役は料理です。背景がごちゃごちゃしていると、料理に目が行きにくくなります。可能な限り背景を整理しましょう。
    • ただし、お店の素敵な内装や食器など、雰囲気を伝えたい場合は、それを背景に含めて撮影するのも良い方法です。和の雰囲気、モダンな雰囲気など、お店のコンセプトが伝わるように意識しましょう。
  • 動画(リール、TikTokなど)で動きと音を伝える:
    • 写真だけでは伝えきれない「体験」や「ライブ感」を動画で伝えましょう。
    • 調理風景: 職人の華麗な包丁さばき、鉄板で焼く迫力、カクテルを作る様子など。
    • お店の雰囲気: お客様で賑わう様子、BGM、スタッフの明るい接客など。
    • 盛り付けの過程: 美しい一皿が完成するまでの様子。
    • スタッフ紹介: 個性豊かなスタッフの笑顔やお店への想い。
    • 短くテンポの良い動画に、旅行者の興味を引くようなBGMやテロップ(多言語で!)を加えるのがポイントです。
  • 編集アプリを活用する(やりすぎに注意):
    • スマートフォンの写真編集機能や無料の編集アプリ(例: VSCO, Snapseed, CapCutなど)を使えば、明るさや色合いを調整したり、簡単なテロップや音楽を加えたりできます。
    • ただし、加工しすぎて実物と大きく異なると、お客様が来店した際にがっかりさせてしまう可能性があるので注意しましょう。「美味しそう」に見せるための最低限の調整に留めるのがおすすめです。

【やり方 2】海外客に見つけてもらうための多言語ハッシュタグ活用

魅力的なコンテンツを作成したら、次に重要なのはそれを必要な人に見つけてもらうことです。ハッシュタグは、あなたの投稿を検索結果や関連投稿に表示させるための「キーワード」であり、インバウンド集客において非常に強力なツールです。

  • 基本は「場所」と「料理」の多言語ハッシュタグ:
    • 海外からの旅行者が飲食店を探すとき、最もよく使うのが「地名+料理名」や「地名+Food/Gourmet」といった組み合わせです。
    • 地域名: #Tokyo #Kyoto #Osaka #Shibuya #Shinjuku など
    • 料理名/ジャンル: #Sushi #Ramen #Tempura #Udon #Yakitori #Washoku #Japanesefood #Cafe #Restaurant など
    • これらのハッシュタグは、英語だけでなく、ターゲットとする国の言語でも考えることが重要です。(例:#東京 -> #도쿄 (韓国語), #东京 (中国語) / #寿司 -> #스시 (韓国語), #寿司 (中国語))Google翻訳などのツールを活用して、主要なキーワードを多言語化してみましょう。
  • 「体験」や「目的」に関するハッシュタグ:
    • 旅行者は単に食事をするだけでなく、「体験」や「思い出」を求めています。
    • #Japantrip #Traveljapan #Visitjapan #Japaneseculture #Foodiejapan など、旅行全体や日本の食体験に関するハッシュタグも効果的です。
    • お店の雰囲気や特徴を表すハッシュタグ(例:#Cozycafe #Traditionaljapan #Hiddenjem)も有効です。
  • トレンドハッシュタグやユニークなハッシュタグ:
    • その時期に流行している観光関連や食関連のハッシュタグがないかチェックしてみましょう。
    • お店の名前やオリジナルのキャンペーン用ハッシュタグも作成し、お客様に使ってもらうよう促すのも良いでしょう。
  • ハッシュタグの量と組み合わせ:
    • Instagramでは最大30個のハッシュタグをつけることができます。関連性の高いものはできるだけ多くつけましょう。
    • ビッグキーワード(例:#Tokyo, #Sushi): 多くの人に見られる可能性がある反面、競合が多くすぐに埋もれやすい。
    • ミドルキーワード(例:#ShibuyaCafe, #TonkotsuRamen): ある程度の検索ボリュームがありつつ、ビッグキーワードよりは競合が少ない。
    • スモールキーワード(例:#〇〇駅徒歩5分カフェ, #店名〇〇の裏メニュー): 検索数は少ないですが、関心が高いユーザーに届きやすく、競合も少ないため上位表示されやすい。
    • これらのバランスを考えながら、組み合わせて使うのがおすすめです。
  • 競合店やインフルエンサーのハッシュタグを参考にする:
    • インバウンド集客に成功している他の飲食店や、日本の食について発信している海外のインフルエンサーがどのようなハッシュタグを使っているか参考にしてみましょう。

これらの「やり方」を実践することで、あなたの飲食店のSNS投稿は、単なる情報発信から、世界中の旅行者の「食べたい!」「行ってみたい!」という気持ちをダイレクトに刺激する、強力なインバウンド集客ツールへと進化します。

7.成功事例:魅力的な写真・動画と多言語ハッシュタグで海外からお客様が殺到した飲食店(仮称)

ここでは、今回ご紹介した「魅力的ビジュアルコンテンツ」と「多言語ハッシュタグ」の活用で、インバウンド集客に成功した飲食店の事例をご紹介します。(※具体的な企業名ではなく、取り組み内容と効果に焦点を当てて記述します。)

事例:東京・浅草にあるモダンな和食ダイニング「浅草わしょく庵」(仮称)

この和食ダイニングは、伝統的な和食にモダンなアレンジを加えた創作料理を提供しており、内装も落ち着いた洗練された雰囲気です。以前は外国人観光客は多くありませんでしたが、SNSでのビジュアル戦略とハッシュタグ戦略を見直したことで、状況が一変しました。

取り組んだこと:

  1. プロクオリティに近い写真・動画へのこだわり:
    • 料理の撮影は、プロのフードコーディネーターのアドバイスも参考に、盛り付けの色合いやバランス、器との組み合わせに徹底的にこだわりました。
    • お店の照明と自然光を組み合わせ、料理が最も美しく見えるアングルと光量で撮影。湯気やタレの照りなどが際立つように工夫しました。
    • リールやTikTok動画では、調理のライブ感(例:板前さんが丁寧に魚を捌く様子)、コース料理の提供順序、店内の落ち着いた雰囲気を伝える短いクリップを作成。日本の雅なBGMをBGMに使用するなど、コンセプトに合わせた演出を意識しました。
  2. 戦略的な多言語ハッシュタグの選定と活用:
    • 基本的な #Tokyo #Asakusa #Washoku #Japanesefood といった英語ハッシュタグに加え、料理の具体的な内容を示す #CreativeJapaneseCuisine #ModernWashoku や、お店の雰囲気を示す #AsakusaDinner #TokyoRestaurantGuide といった、より詳細でターゲット層に響くハッシュタグをリストアップしました。
    • アジアからの観光客も多かったため、中国語(#浅草美食 #东京和食)や韓国語(#아사쿠사맛집 #도쿄와쇼쿠)での主要ハッシュタグも徹底的にリサーチし、全ての投稿に日本語+英語+中国語+韓国語のハッシュタグを複数組み合わせる運用ルールを設けました。
    • 「#VisitJapan」といったキャンペーンハッシュタグや、「#TokyoFoodie」といったインフルエンサーが使いそうなハッシュタグも積極的に活用しました。

結果:

これらの取り組みにより、SNS(特にInstagram)の海外からのフォロワー数が急増しました。投稿に対する海外ユーザーからの「いいね!」や「美味しそう!」「お店はどこですか?」といったコメントが大幅に増加し、保存数も伸びました。

Google Analyticsなどの分析ツールで確認したところ、SNS、特にInstagramからのウェブサイト(多言語対応)への流入が増加し、その流入元を分析すると、海外からのアクセスが顕著に伸びていることが分かりました。

最も明確な成果として、「Instagramで写真を見て来ました」「ハッシュタグで検索して見つけました」 と話す外国人観光客が、以前と比べて圧倒的に増加しました。予約サイトからのインバウンド予約も増加し、週末はインバウンド客で席が埋まる日も出るようになりました。

この事例から学ぶこと:

「浅草わしょく庵」の事例は、単に写真を投稿するだけでなく、料理やお店のコンセプトを最大限に引き出す「クオリティの高いビジュアル」 と、ターゲットとなる海外旅行者が実際に検索し、あなたの投稿を見つけやすくするための「戦略的な多言語ハッシュタグ」 を組み合わせることで、大きな集客成果に繋がることを示しています。

SNSでのインバウンド集客は、見た人の「行ってみたい!」という感情をどれだけ刺激できるかが鍵です。あなたの飲食店の魅力が伝わる写真・動画を心を込めて撮影し、適切な多言語ハッシュタグを添えて世界に発信することで、きっと海外からの新しいお客様との出会いが生まれるはずです。

この記事でご紹介した「やり方」を参考に、ぜひ今日から実践してみてください。次に読む記事では、SNSでお客様とのコミュニケーションを深める方法や、UGC(お客様による投稿)を促進するコツについて、さらに掘り下げてご紹介していきます。