01-9. インバウンド観光客が「日本の食」に恋をする理由とは? 外国人に人気の日本料理TOP20と飲食店が取り組むべきこと

なぜ今、インバウンドの「食」ニーズを知るべきなのか?

日本政府観光局(JNTO)が発表する訪日外客数のデータを見ても明らかなように、コロナ禍を経て日本のインバウンド観光は力強い回復を見せています。そして、多くの訪日外国人観光客にとって、旅の最大の目的であり、最も印象に残ることの一つが「日本の食」です。彼らは単に食事をするだけでなく、その土地の食文化に触れ、新しい味を体験し、SNSで共有することで旅の思い出を深めます。

つまり、インバウンド観光客の「食」に対するニーズを正確に把握し、それに応えることは、飲食店にとって集客力を高め、売上を向上させるための非常に重要な戦略となります。彼らが何を求めているのかを知ることは、単に特定の料理を提供するだけでなく、サービスの質を高め、心地よい体験を提供するための出発点となるのです。

では、具体的にインバウンド観光客はどのような日本料理に魅力を感じているのでしょうか?彼らの検索履歴やSNSでの発信、海外の旅行サイトでの評価などを総合的に分析し、特に人気の高い日本料理TOP20としてピックアップしました。

インバウンド観光客が本当に求めている「日本の食」とは?【人気料理TOP20】

ここでご紹介する人気料理TOP20は、単なる知名度だけでなく、実際に外国人観光客が日本滞在中に積極的に食べたいと感じている、体験したいと感じている料理を中心に選定しました。あなたの飲食店のメニューと照らし合わせながら、どんな可能性を秘めているか考えてみてください。

第1位:寿司・刺身

やはり不動の人気No.1は寿司刺身です。「日本に来たら絶対に食べたいもの」として、多くの外国人観光客がリストの筆頭に挙げる料理です。

  • 人気の理由: 新鮮な魚介類、見た目の美しさ、ヘルシーなイメージ、そして職人の技。特にカウンター席で職人が握る様子を見るのは、彼らにとって特別な体験です。生魚に抵抗がある人もいますが、近年はアボカド巻きやカリフォルニアロールなど、海外で独自に進化を遂げた寿司も人気です。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 必須です。写真付きで、ネタの名前だけでなく、簡単な説明(例:マグロはTuna、サーモンはSalmonなど)があると親切です。
    • アレルギー表示: 魚介類、米、醤油(小麦)など、アレルギーに関する情報は明確に表示しましょう。
    • 食べ方の案内: 醤油のつけ方、ガリやわさびの意味など、簡単な解説を添えると、食文化への理解が深まり、より楽しんでもらえます。
    • 体験型: 寿司握り体験ができるコースは非常に人気が高いです。
    • 事例: 回る寿司チェーン店は、手軽さ、明朗会計、豊富なメニューで人気があります。高級店では、カウンター越しに英語で対応できるスタッフがいると、満足度が格段に上がります。

第2位:ラーメン

寿司に匹敵するほどの人気を誇るのがラーメンです。世界各地に日本のラーメン店が進出し、その知名度は爆発的に高まっています。

  • 人気の理由: 濃厚なスープ、多様な麺の種類、チャーシューや味玉などのトッピング。地域ごとに異なる個性豊かなラーメンは、彼らにとって食べ比べの楽しみでもあります。手軽に食べられるファストフードとしての側面も魅力です。SNS映えする見た目も人気の秘訣です。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: スープの種類(豚骨、醤油、味噌、塩など)、麺の固さ、トッピングなどを分かりやすく記載します。
    • ベジタリアン/ヴィーガン対応: 肉や魚介類を使わないスープや、動物性食品を含まない麺のオプションがあると、対応できる顧客層が広がります。近年、このニーズは非常に高まっています。
    • アレルギー表示: 卵、小麦、大豆、豚肉、鶏肉など、使用しているアレルギー原因物質を明確に表示しましょう。
    • 食券機の多言語対応: 食券機がある場合は、英語表示や写真付きにするだけで、注文のハードルが大きく下がります。
    • 事例: 一蘭のように、個室カウンターで集中して味わえるスタイルや、替え玉システムは、外国人にもユニークな体験として受け入れられています。ヴィーガン対応のラーメンを提供する店舗も増えています。

第3位:天ぷら

サクサクの衣と素材の旨味を楽しめる天ぷらも、インバウンド観光客に非常に人気があります。

  • 人気の理由: 揚げたての軽やかな食感、海老や季節の野菜など多様な具材、塩や天つゆで味を変えて楽しめる点。高級なイメージがありつつも、定食屋などで気軽に味わえる点も魅力です。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 具材の種類(海老、キス、ナス、かぼちゃなど)を写真付きで説明します。
    • アレルギー表示: 小麦、卵、海老など、アレルギー情報を記載します。
    • 揚げたて提供のアピール: 注文を受けてから揚げるスタイルであれば、その点を強調すると、特別感を演出できます。
    • 塩の種類の紹介: 抹茶塩やカレー塩など、提供している塩の種類を紹介すると、味の変化を楽しんでもらえます。
    • 事例: カウンターで揚げたてを順番に提供するスタイルの天ぷら専門店は、外国人観光客にも日本の食のライブ感を体験できるとして人気です。

第4位:うどん・そば

手軽でヘルシーなイメージのあるうどんそばも、外国人観光客に親しまれています。

  • 人気の理由: 温かいかけうどん/そば、冷たいざるうどん/そばなど、多様な食べ方がある点。出汁の文化に触れられる点も魅力です。手頃な価格で食べられる店が多いのも人気の理由です。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 温かい/冷たい、具材の種類(きつね、たぬき、天ぷらなど)を写真付きで説明します。
    • アレルギー表示: 小麦、そば、大豆、海老など、アレルギー情報を記載します。
    • トッピングの紹介: ネギや七味唐辛子などの薬味の使い方を案内すると良いでしょう。
    • 事例: セルフサービスのうどんチェーン店は、安さ、手軽さ、カスタマイズ性の高さで外国人観光客にも利用しやすいと好評です。

第5位:お好み焼き・たこ焼き

大阪のソウルフードとして知られるお好み焼きたこ焼きも、インバウンド観光客に人気の高い料理です。

  • 人気の理由: 目の前の鉄板で焼くライブ感や、自分で焼く体験ができる楽しさ。ソースやマヨネーズ、かつお節、青のりなどをかけて自由にアレンジできる点。日本のB級グルメ、屋台文化に触れられる点も魅力です。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 具材の種類(豚玉、イカ玉など)、トッピングの種類を写真付きで説明します。
    • 焼き方の説明: 自分で焼くスタイルの場合は、焼き方の手順を写真やイラスト付きで分かりやすく説明する必要があります。英語での説明書きは必須です。
    • アレルギー表示: 小麦、卵、豚肉、イカ、エビ、大豆(ソース)、やまいもなど、アレルギー情報を記載します。
    • 事例: 観光客向けにお好み焼きたこ焼きの体験ができる店舗は非常に人気があります。スタッフが英語で焼き方を教えてくれると、より良い体験となります。

第6位:焼き鳥

手軽に食べられる日本のソウルフード、焼き鳥インバウンド観光客に人気です。

  • 人気の理由: 多様な部位(もも、ねぎま、つくね、皮など)を楽しめる点。香ばしい香り、ビールや日本酒との相性の良さ。日本の居酒屋文化に触れられる点。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 各部位の名前を英語で説明し、写真と対応させます。「もも(Chicken thigh)」「ねぎま(Chicken and scallion)」など。
    • タレと塩: タレ味と塩味があることを説明し、好みで選べるようにします。
    • アレルギー表示: 鶏肉、大豆(タレ)、小麦(タレ)など、アレルギー情報を記載します。
    • 事例: 活気のある焼き鳥居酒屋は、日本のナイトライフを体験できるとして人気があります。串の種類が豊富で、多言語メニューがしっかりしている店舗が好評です。

第7位:すき焼き・しゃぶしゃぶ

特別な日の食事やグループでの食事に選ばれることが多いすき焼きしゃぶしゃぶも、日本の鍋料理としてインバウンド観光客に人気です。

  • 人気の理由: 上質な牛肉や新鮮な野菜を、テーブルで調理しながら食べる体験。割り下やポン酢、ごまだれなど、多様な味付けで楽しめる点。家族や友人と鍋を囲む日本の食文化を体験できる点。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: コースの内容(肉の種類、野菜、締めなど)を詳しく説明します。
    • 食べ方の説明: すき焼きの場合は卵につけて食べる、しゃぶしゃぶの場合は軽く火を通して食べるなど、食べ方の手順を説明する必要があります。英語での説明書きや、スタッフによる簡単な説明があると良いでしょう。
    • アレルギー表示: 牛肉、鶏卵、小麦、大豆、ごまなど、アレルギー情報を記載します。
    • 事例: 個室で落ち着いて楽しめる店舗や、食べ放題コースがある店舗は、グループ利用の外国人観光客に人気です。

第8位:カレーライス

日本独自の進化を遂げたカレーライスも、インバウンド観光客に広く受け入れられています。

  • 人気の理由: 日本のカレーライスは、母国のカレーとは異なる独自の風味ととろみがあり、新鮮な体験として楽しまれています。多様な具材や辛さを選べる点も魅力です。子供から大人まで楽しめる、親しみやすい味です。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: カレーの種類(ポークカレー、チキンカレー、カツカレーなど)、辛さのレベル、トッピングの種類を説明します。
    • アレルギー表示: 小麦、乳製品、豚肉、鶏肉など、アレルギー情報を記載します。
    • ベジタリアン対応: 野菜カレーや、動物性食品を使わないルーのオプションがあると、対応できる顧客層が広がります。
    • 事例: 全国展開しているカレーライスチェーン店は、安定した味と手軽さで外国人観光客にも利用されています。ご当地カレーを提供する店舗もユニークな選択肢として注目されます。

第9位:牛丼・カツ丼などの丼もの

手軽に素早く食べられる牛丼カツ丼などの丼ものも、忙しい観光客に人気です。

  • 人気の理由: 安くて美味しい、ボリュームがある、素早く提供される。日本のファストフードとして気軽に体験できる点。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 丼物の種類(牛丼カツ丼、親子丼など)、サイズ、トッピングなどを写真付きで説明します。
    • アレルギー表示: 小麦、卵、牛肉、豚肉、鶏肉、大豆など、アレルギー情報を記載します。
    • 紅ショウガや七味の使い方: 無料で提供される紅ショウガや七味唐辛子の存在や使い方を案内すると良いでしょう。
    • 事例: 大手牛丼チェーン店は、多言語メニューやキャッシュレス決済の導入が進んでおり、外国人観光客にとって非常に利用しやすい環境が整っています。

第10位:唐揚げ

ジューシーで美味しい唐揚げは、子供から大人まで、国籍を問わず愛される味です。

  • 人気の理由: 外はサクサク、中はジューシーな食感。ビールとの相性も抜群。日本の居酒屋やお惣菜としての定番である点。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 唐揚げの種類(もも、むねなど)、味付け(醤油ベース、塩ベースなど)、提供スタイル(定食、単品)を説明します。
    • アレルギー表示: 小麦、大豆、鶏肉など、アレルギー情報を記載します。
    • テイクアウト対応: ホテルでゆっくり食べたいというニーズもあるため、テイクアウトに対応していると喜ばれます。
    • 事例: 専門店の唐揚げはもちろん、居酒屋のメニューとしても非常に人気があります。様々な味付けのバリエーションがあると、選ぶ楽しさが増します。

第11位:餃子

日本の餃子は、中国の餃子とは異なる独自の進化を遂げており、インバウンド観光客にも人気です。

  • 人気の理由: 焼き餃子のパリパリとした羽根ともちもちした皮、ジューシーな餡。ビールとの相性の良さ。手軽に食べられる点。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 焼き餃子、水餃子、揚げ餃子など、種類を写真付きで説明します。餡の具材(豚肉、野菜など)も説明すると良いでしょう。
    • タレの作り方: 醤油、酢、ラー油を混ぜてタレを作る日本のスタイルを案内すると、食文化体験になります。
    • アレルギー表示: 小麦、豚肉、ニラ、ニンニク、大豆(タレ)など、アレルギー情報を記載します。
    • 事例: 専門店の餃子はもちろん、ラーメン店や居酒屋のサイドメニューとしても人気です。様々な種類の餃子を提供する店舗は、食べ比べができると好評です。

第12位:おにぎり

日本のコンビニエンスストアでも気軽に買えるおにぎりは、インバウンド観光客にとって日本のソウルフードの一つです。

  • 人気の理由: 手軽さ、携帯性の良さ、多様な具材(鮭、梅干し、昆布、ツナマヨなど)。日本の家庭料理に触れられる点。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 具材の種類を写真付きで説明します。「鮭(Salmon)」「梅干し(Pickled plum)」「昆布(Kelp)」など。
    • 温かいおにぎりの提供: 注文を受けてから握る、温かいおにぎりは、コンビニのおにぎりとは異なる体験として喜ばれます。
    • アレルギー表示: 米、鮭、梅、大豆など、アレルギー情報を記載します。
    • 事例: 専門店はもちろん、カフェや惣菜店でも、手作り感のあるおにぎりは人気です。味噌汁やお惣菜とセットで提供するのも良いでしょう。

第13位:味噌汁

日本の食卓に欠かせない味噌汁も、日本の食文化を体験できる重要な要素です。

  • 人気の理由: 出汁と味噌の優しい味、日本の家庭的な味。健康的なイメージ。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 具材の種類(豆腐、わかめ、ねぎなど)を説明します。
    • 出汁の説明: かつお節や昆布でとった出汁を使っていることを説明すると、日本の出汁文化への関心を高めることができます。
    • アレルギー表示: 大豆(味噌)、魚介類(出汁)など、アレルギー情報を記載します。
    • 事例: 定食や朝食のセットに味噌汁が含まれているのは一般的ですが、具材にこだわったり、地域ならではの味噌汁を提供したりすると、特別感を演出できます。

第14位:枝豆

日本の居酒屋の定番である枝豆は、手軽なおつまみとしてインバウンド観光客にも人気です。

  • 人気の理由: ヘルシーで美味しい、ビールとの相性が良い、殻から出すというユニークな食べ方。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: そのまま「Edamame」として認識されていることが多いですが、簡単な説明(Boiled green soybeans)を加えると親切です。
    • 食べ方の説明: 殻から豆を取り出して食べることを案内すると良いでしょう。
    • 事例: 居酒屋はもちろん、バーやちょっとした食事処でも、手軽なメニューとして提供できます。

第15位:抹茶スイーツ

世界中で人気の抹茶を使ったスイーツは、インバウンド観光客に絶大な人気を誇ります。

  • 人気の理由: 鮮やかな緑色と独特の風味。アイスクリーム、ケーキ、ラテなど、多様な形で楽しめる点。日本の伝統的なイメージ。SNS映え。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 抹茶を使ったスイーツの種類(抹茶アイス、抹茶パフェ、抹茶ケーキなど)を写真付きで説明します。
    • 抹茶の説明: 抹茶が日本の伝統的なお茶であり、苦味と甘みのバランスが特徴であることを説明すると、抹茶への理解が深まります。
    • 事例: カフェはもちろん、和菓子店やレストランでも、デザートメニューとして抹茶スイーツは欠かせません。専門店では、高品質な抹茶を使ったメニューや、抹茶を点てる体験を提供すると人気が出ます。

第16位:和菓子

日本の繊細な美意識が詰まった和菓子も、お土産としても、その場でも楽しむものとして人気があります。

  • 人気の理由: 季節感を表現した美しい見た目、上品な甘さ。日本の伝統や文化に触れられる点。お茶との相性。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 和菓子の種類(大福、団子、ようかん、饅頭など)を写真付きで説明し、使用している主な材料(あんこ、もち米、抹茶など)も説明します。
    • 季節の和菓子: 季節ごとの和菓子を紹介すると、日本の四季を感じてもらうことができます。
    • お茶とのセット: 抹茶や日本茶とのセットで提供すると、より日本の食文化を体験してもらえます。
    • 事例: 和菓子専門店はもちろん、日本茶カフェや一部のレストランでも提供されています。見た目の美しさを活かして、SNSでの発信を強化するのも効果的です。

第17位:おでん

寒い季節に体を温めてくれるおでんも、日本の家庭的な味としてインバウンド観光客に人気があります。

  • 人気の理由: 様々な具材をじっくり煮込んだ優しい味わい。日本の屋台や居酒屋の雰囲気。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 具材の種類(大根、卵、こんにゃく、ちくわ、はんぺんなど)を写真付きで説明します。
    • 出汁の説明: 出汁のこだわりや地域ごとの違い(関東風、関西風など)を説明すると、興味を持ってもらえます。
    • 事例: 専門店はもちろん、居酒屋や一部の和食店で提供されています。冬季限定メニューとしてアピールするのも良いでしょう。

第18位:焼きそば・たこ焼き以外の粉もの

お好み焼きたこ焼き以外にも、焼きそばやもんじゃ焼きなどの粉ものも人気があります。

  • 人気の理由: 鉄板で焼くライブ感や、自分たちで作る楽しさ。日本のB級グルメ、屋台の味。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 料理の種類(焼きそば、もんじゃ焼きなど)、具材、トッピングを写真付きで説明します。
    • 焼き方の説明: 自分たちで作るスタイルの場合は、焼き方の手順を写真やイラスト付きで分かりやすく説明します。
    • 事例: お好み焼き店やもんじゃ焼き店で提供されています。観光客向けの体験型店舗が人気です。

第19位:居酒屋メニュー全般

特定の料理というより、居酒屋という空間と、そこで提供されるメニュー全般を楽しむインバウンド観光客が増えています。

  • 人気の理由: 多様な小皿料理を少しずつ楽しめるスタイル。日本酒や焼酎、ビールなど、日本のお酒を楽しめる点。日本のサラリーマン文化やナイトライフに触れられる点。活気のある雰囲気。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 各料理の名前だけでなく、どのような料理なのか簡単な説明を加えると親切です。「枝豆(Boiled green soybeans)」「冷奴(Chilled tofu)」「からあげ(Japanese fried chicken)」など。
    • 日本のアルコールの紹介: 日本酒の 종류(純米、吟醸など)、焼酎の種類、飲み方などを説明します。
    • おすすめメニューの紹介: 人気メニューや本日のおすすめなどを英語で紹介します。
    • 事例: 活気があり、多言語対応が進んでいる居酒屋は、外国人観光客に日本の夜を体験できる場所として人気です。

第20位:地域限定グルメ・B級グルメ

その地域でしか味わえない限定グルメや、地元の人々に愛されるB級グルメも、インバウンド観光客の探求心をくすぐります。

  • 人気の理由: その土地ならではの特別な体験ができる。SNSで「ここでしか食べられない!」と発信できる。地元の食文化に深く触れられる。
  • 飲食店が取り組むべきこと:
    • 多言語メニュー: 料理の名前だけでなく、その料理がどのようなもので、なぜその地域のグルメなのかを説明します。
    • ストーリーを語る: その料理の歴史や、使われている特別な食材について紹介すると、付加価値が生まれます。
    • 地図や写真: 料理に関連する地域の情報や、食材の産地の写真などを店内に飾ると、より興味を持ってもらえます。
    • 事例: 札幌のスープカレー、福岡の豚骨ラーメン、広島のお好み焼き、金沢の海鮮丼など、地域ごとに様々な限定グルメがあり、それを目当てに訪れる外国人観光客も多いです。地元の小さな食堂や、観光客向けにアレンジされた店舗など、提供形態は様々です。

TOP20から見えてくるインバウンド対策の鍵

インバウンド観光客に人気の日本料理TOP20を見てきましたが、ここから飲食店経営者の皆様がインバウンド集客に繋げるための重要なヒントが見えてきます。

  1. 「日本の代表」はやはり強い: 寿司ラーメン天ぷらなど、海外でも知名度の高い日本料理は、彼らが日本で「本物」を味わいたいという強い動機付けになります。これらの料理を提供している場合は、品質はもちろんのこと、「日本ならでは」の体験を提供できるかが鍵となります。
  2. 体験への高い関心: お好み焼きたこ焼きを自分で焼く、寿司を握る様子を見る、居酒屋で日本のナイトライフを体験するなど、「食べる」ことに加えて「体験」を求めている傾向が見られます。
  3. ヘルシー志向と多様性: 寿司うどんそばのヘルシーなイメージに加え、ベジタリアンヴィーガンハラールといった多様な食のニーズへの対応が、今後のインバウンド集客においてますます重要になります。
  4. 手軽さとユニークさの両立: ラーメン牛丼のような手軽な料理から、すき焼きしゃぶしゃぶのような少し贅沢な料理、そして地域限定グルメのようなユニークな体験まで、幅広いニーズに対応できる可能性があります。
  5. 情報提供の重要性: 多言語メニューはもちろんのこと、アレルギー情報、料理の食べ方、使われている食材のストーリーなど、丁寧な情報提供が安心感と満足度を高めます。

これからのインバウンド向け飲食店経営の展望と具体的な行動例

これらの人気料理のトレンドとインバウンド観光客のニーズを踏まえ、あなたの飲食店が明日から取り組める具体的な行動例をいくつかご紹介します。

  • まずはメニューの見直し: 現在のメニューの中で、今回ご紹介した人気料理に該当するものがないか確認しましょう。もしあれば、写真付きの多言語メニューを作成・更新します。料理名のローマ字表記だけでなく、簡単な英語での説明を加えましょう。
  • アレルギー対応の明確化: 主要なアレルギー物質(小麦、卵、乳製品、そば、落花生、えび、かに)の表示をメニューに加えます。難しい場合は、アレルギーリストを別途作成し、提示できるようにしておきましょう。
  • SNSでの発信強化: InstagramやFacebookなど、外国人観光客がよく利用するSNSで、魅力的な料理写真と共に英語で情報発信を行います。ハッシュタグ(例: #SushiInTokyo #JapaneseFood #TokyoEats #RamenLover)を効果的に活用しましょう。
  • キャッシュレス決済の導入: クレジットカードはもちろん、QRコード決済(Alipay, WeChat Payなど)や電子マネーなど、多様な決済手段に対応することで、利便性が大幅に向上します。
  • Wi-Fi環境の整備: 無料Wi-Fiを提供することで、外国人観光客はスマートフォンの利用や情報収集がしやすくなり、店内でゆっくり過ごしてもらいやすくなります。
  • 簡単な英会話フレーズの習得: スタッフ全員が完璧な英語を話す必要はありませんが、「Hello」「Thank you」「Enjoy your meal」「This is ○○」といった基本的なフレーズを覚えるだけでも、コミュニケーションの質が向上します。
  • ベジタリアン/ヴィーガン対応の検討: 一部メニューをベジタリアンヴィーガンに対応させるだけで、新たな顧客層を取り込むことができます。専門的な知識が必要な場合は、外部のコンサルタントに相談するのも良いでしょう。
  • 地域の魅力をメニューに活かす: あなたの飲食店がある地域の特産品を使ったメニューや、地域に根差したB級グルメなどをメニューに加えることで、地域限定グルメに関心のある外国人観光客を惹きつけられます。メニューにそのグルメの背景やストーリーを記載すると、より魅力的になります。
  • オンライン予約システムの多言語対応: 予約を受け付けている場合、オンライン予約システムを導入し、英語での予約が可能にするだけで、予約の機会損失を防ぎます。
  • Google Business Profileの活用: 営業時間、定休日、メニュー、写真などを正確に多言語で登録し、最新の状態に保ちましょう。外国人観光客はGoogle Mapで飲食店を探すことが多いです。

これらの取り組みは、一つ一つは小さく見えるかもしれませんが、積み重ねることであなたの飲食店インバウンド観光客にとって、より魅力的で利用しやすい場所へと変化していきます。

まとめ:未来への投資としてのインバウンド対策

インバウンド観光客に人気の日本料理を知ることは、単に流行を追うことではありません。それは、変化する顧客ニーズを理解し、自社のサービスを改善するための重要なヒントです。今回ご紹介したTOP20やそれに付随する様々なヒントを参考に、あなたの飲食店ならではの強みを活かしたインバウンド対策をぜひ進めてください。

多言語対応メニュー改善、情報発信といった取り組みは、外国人観光客だけでなく、国内の顧客層にも喜ばれる可能性があります。時代の変化に対応し、積極的に新しい挑戦を続けることが、あなたの飲食店の未来を切り拓く鍵となるでしょう。

この記事で得た知識が、あなたの飲食店のさらなる発展の一助となれば幸いです。さあ、インバウンドという大きな波を捉え、世界の食通たちを唸らせる美味しい料理と素晴らしい体験を提供しましょう!